犬と歩けば チロリとタムラ

 


 セラピードッグってのがいるんですね。

アレルギー体質の子供が、海でイルカと触れ合う事により回復しただとか、動物による治療が一部で行われているのは知っていましたが、病院を慰問する犬がいるなんてちょっと驚きでした。この映画に出てくる様に、病院に犬達が慰問に来てくれるのだとしたら、なんだかその為に入院しちゃっても良いかな?と思いました。そう思っちゃうぐらい、劇中に登場する入院中のお年寄りが犬達と楽しそうに接していたのです。実際の病院で撮影したらしいですから、これらの表情は演技ではなく、事実なのです。セラピードッグ、凄いんだなぁ。

 

 ココリコの田中が演じる、仕事も無く住む場所も失った岡村は、途方に暮れている最中に捨てられた野良犬に出会い、タムラと名付けます。このタムラに情が移って離れられなくなっていろいろあって、運良くタムラをセラピードッグへと育て上げる訓練士になって・・・と言うお話しなのですが、この岡村のダメ人間っぷりが大変良い。僕、ココリコってバラエティ番組等では見た事が無く、演技している様子しか見た事が無いのですが、なかなかの物ですよね?駄目なのに、人柄良く憎めない岡村は田中のハマり役かも知れません。どうして岡村は駄目人間なのか?今までどうやって生きて来たのか?これから本当に「天職」でやっていけるのか?疑問点はいくつも残りますが、彼の人柄を見ていると気分が良くなります。

 

 そしてタムラ。タムラを演じるのは、セラピードッグとして働いている犬で、決して役者犬では無いそうです。

しかし、このタムラも見事に動く。これは相当訓練した犬なんだろなぁと思っていたのですが、後からパンフを読んで本当に驚きましたよ。タムラが自動車に乗る事を躊躇うシーンは、今まで観たどんな動物映画のどんな演技をも上回る出来だったと思います。

 

 これだけ褒めましたが、全体的にパッとしない印象があるのも事実。

終盤の大事な大事な姉妹の会話のシーンは、練った脚本を使った訳では無いそうで、間の取り方や会話の内容がどうにも退屈なシーンになってしまいました。なんなら観客を泣かせる事が出来そうなこのシーンも、出てきたのは欠伸です。

 

 この映画、内容を語る上でタイトルに名前の挙がっているチロリの存在は必要ありません。

チロリとは、実在するセラピードッグで、チロリがチロリの役として出演しているのですが、ほとんどちょい役でしかないのですよね。

どうしてタイトルに入ってきたんだろう。

 

2004年7月11日鑑賞 


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